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Showing posts from November, 2018

バジャウ人のスキンケア

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Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 ワカトビのバジャウのひとたち、最後に彼らのスキンケアについて。 --------------------------------------------------------- バジャウの集落を歩いていると、時々おしろいをぬったような顔のひとに出会うことがありました。 女性か小さい子が多く、ミャンマーのタナカーと似たような印象を受けます。 これは、米粉。 作り方を教えてもらいました。 材料は、洗って水を切った米とブレンドしたい植物。 マンコカン(ポリシャスの一種)の葉は茹でて干しておいたもので、陽射しを除ける効果、 ターメリックは肌をきれいにする効果、他、ザクロの葉や丁字などを配合するそう。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 このときはターメリックを使用しました。 臼でお米をとんとんと搗き、頃合いでターメリックを加え、ひたすらとんとんと搗いていきます。 そのうち、さらさらとした粉状になるので、それを少量の水と練って玉とし、保存。 使うときはまた水で溶いて肌に乗せます。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 この赤ちゃんは肌荒れしてしまっていて、なのでターメリックブレンドのを塗ってもらっていました。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 ------------------------------------------------------ バジャウの集落はここの他、スラウェシの別の地域でも訪問しています。 そちらについてもまたいずれ。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015

バジャウの病気平癒のおまじない

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Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 ワンギワンギのバジャウ人の村で、彼らの間に伝わる病気平癒のおまじないを教えてもらいました。 ------------------------------------------------------------ まず、この病気平癒の儀式の土台となるものとして「海の兄弟」があります。 バジャウ人は、赤ん坊が生まれたらその日のうちに、その胎盤を布で包んで家の前の海に沈めます。 これが「海の兄弟」となるのです。 実は、この胎盤にまつわる慣習、バジャウに限らずジャワやバリでも見られるもの。 そちらでは海に沈めるのではなく、家の前や土間に埋めるというもので、 夜になると電球をともしてあげるなど、擬人化とも見られる決まりがあり、この「兄弟」という考え方にも類似しています。 また、元は定住地を持たなかったバジャウ人たちに「家の前」という概念がいつ生まれたか、というのも不思議ではあるのですが。 いずれにせよ、その「海の兄弟」に平癒を祈るのが、ここで見せてもらったおまじないです。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 『カカ』と呼ばれるこの儀式。体調が悪い、怠いなどの症状のある人に対して行います。 まずは、ココナッツの殻の中に、柔らかに炊いたご飯のおにぎりを九つ入れます。 そこに、シリー(キンマ)を九つならべ、九本のロウソクを立てます。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 灯をともし、中央には米を入れたカップ。 マントラを唱えながらこの椰子の殻ごと、患者の頭の上をぐるりと回します。 炭の中ではお香が燃やされていました。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 次に、この椰子殻と、首に糸を巻いた素焼きの小さな壺を持って外にでます。 家の前の海に。 椰子殻とその一式を水に沈め(カップだけは取

バジャウと夜空

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Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 船で自在に移動をし漁を行う バジャウ の人たちは、夜空からも航海や漁に必要な情報を得ます。 ワンギワンギのバジャウ人に聞いた、星の読み方の話し(九〜十月の空)。 -------------------------------------------------------------------- まず、方角の目印。 天頂の星はあまり関係なく、水平線上にいずれかの星を探し、方角を知ります。 西:さそり座(日没後に見える) 東:プレアデス星団(すばる) 南:南十字星(似たようなクロスの星が三つある中からきちんと判別しなくてはいけない) 北:カシオペア座 星が見えない夜は、船体に当たる波の向きで、波もなければ潮の向きで、方角を知るのだそうです。 次に、天候と季節。 目印になる星がクリアにみえるかどうか一つの判断基準。 雲がかかっていなかったとしても、かすむなど、クリアに見えなかったたら天候が崩れる前兆。 日没の直後にベガが見えたら、西風=雨季の訪れ。 時刻の目処には、まず天の川を探します。 天の川が東西に流れていたら午前一時前、南北に流れていたら午前一時を回っている、と判断するのそうです。 金星が東の空に見えたら午前三〜四時。夜明けが近いしるしです。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 漁は月と結びつくらしく、新月から数えて、 五〜十日は、リーフ内に魚が集まってくる時期、 十三〜二十五日は、産卵の時期、 二十五日以降は、魚がお腹をすかせている漁に最適な時期、だと言います。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 これは、単純に月齢というよりは月の潮汐力による潮の状況を判断しているのではないかと思います。 東海大学の長津一史准教授の論文『海の民サマ人の生活と空間認識』(1997年)から抜粋すると、 「潮汐の変動(大潮・小潮など)は、サマ人の漁撈活動において特に重視されている。 (略)浅く広大なサンゴ礁では干満の潮汐の変動に応じた魚の移動が顕著であり、 またその移動の場になるか否かはサンゴ礁内の微地形の差ではっきりしている(つまり網入れの場が特定し

ワカトビのバジャウ集落

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Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 ワカトビの、ビノンコを除く島々にはバジャウ人たちの海上集落があります。 バジャウ人は海に暮らし、海での狩猟採集を生業とする民。サマ人と呼ばれることもあります。 (サマは自称、バジャウは他称、という話しも) そんなバジャウ人についてと、ワカトビのバジャウ集落について、聞いた話しや読んだ話しなど。 ----------------------------------------------------------- ワカトビの一番はずれの島、ビノンコから、空港のある島であるワンギワンギへ、島を順番に戻っていきました。 ビノンコの隣のトミア島。そしてカレドゥパ島。隣にある小さなリゾートアイランド、ホガ島に寄って、そしてワンギワンギ島へ。 ワンギワンギに向かう前に、カレドゥパのバジャウ集落にまず立ち寄りました。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 浅瀬の杭上住宅を板の橋が繋ぐ海上集落。 非常に簡易な作りに見えますが、居住区としてきちんと認められた集落。 立派な小学校もあります。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 そしてワンギワンギの、モラと呼ばれている地区。島の一部というより、島に隣接して作られた居住地区という様相。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 カレドゥパ同様の浅瀬の杭上集落も一部ありますが、半分ほどは海上集落というより遥かにしっかりした、堀を切った集落です。 モラは全部で五つの村からなり、2015年時点で2,021世帯、7,494人が暮らしているとのことでした。 バジャウ人は子だくさんで知られてるそうで、子供が十数人ということも珍しくないそう。 また、この家屋一軒に四世帯が暮らしている、という場合もあるらしく、人口密度は非常に高い地区です。 Wakatobi_South East Sulawesi, 2015 モラの人々は、1996年にカレドゥパの水上集落から移り住んだ人たちで、 現在はスラウェシ南部で最大規模の集落