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Showing posts from September, 2018

スンバ島の伝統家屋と墓

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Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 東ヌサトゥンガラ州スンバ島。草葺き屋根の伝統家屋と、巨石墓で知られる島。 2011年から14年にかけての数回の訪問で聞いた話しと、目にしたもの。 ------------------------------------ 高床で、空に高く延びる屋根が特徴のスンバの伝統家屋。 その建物の構造概念は三層に分かれています。 床下は家畜の場所、床の上は人間の場所、そしてとんがり屋根の内部はマラプの場所。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 マラプとは。 現在はキリスト教が広まっているスンバ島に、古くから伝わっていた土着信仰。 先祖たちを含めた精霊を意味するのだと言います。 同じ三層構造の伝統家屋でも、島の東部と西部では違いが見られます。 東部の伝統家屋は、一棟がとても大きく、複数の家族が暮らせるほど。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 西部に向かうにつれて一棟あたりのサイズは小さくなり、 いくつかの家屋が集まって集落を成すようになります。一軒に暮らすのは一家族が基本。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 山の上に集まる集落。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 西端の集落の家屋は、極端なほど高い屋根の構造です。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2013 家屋の中央には囲炉裏。 規模の大小はあれど、どこの家屋も中央に囲炉裏をおいて四方に部屋を配置しているのは同じです。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2013 この西端の集落は、国内最大手の飲料水メーカーが持つ財団からの支援を受けて、建物を再建していました。 中央の柱には立派なレリーフ。どこの家屋でもあるものではなく、簡素なものも多いのですが。 柱の上部にネズミ返し。 Sumba_East Nusa Tenggara, 2011 東西ともに屋根

トバ湖の言い伝え

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Toba_North Sumatra, 2014 北スマトラ州にある、世界最大と言われるカルデラ湖、トバ。 2014年の訪問時に、土地のひとが話してくれた、言い伝え。 ----------------------------------- あるところに、一人の農夫が暮らしていた。 田を耕し、帰りがけに釣った魚で夕餉とする慎ましい日々の暮らし。 その夕餉とする魚が、全くからない日があった。どれだけ待っても、手応えがない。 釣れないことを、思わずぼやく農夫。 ぼやきつつ再び竿を垂れたところ、ようやく大きな引きがきた。 釣り上がったのは大きな鯉(インドネシア語で鯉はIkan Mas=金の魚、と言う)。 帰宅し、さっそく捌こうとしたその時、鯉がひとの言葉を発した。 「殺さないで」 自分を箱に入れて蓋をし、七日七夜のあいだ中を見ずにおいておいてくれと言う。 鯉の訴えをのんだ農夫。 約束通り中を見ずに七日七夜がすぎた時、箱にあったのは本物の金となって散らばる鱗たち。 そして、農夫の妻として欲しいと言う、美しい女に姿を変えた鯉。 「ただし、私が魚であったことはだれにも言わずに」 Toba_North Sumatra, 2014 夫婦となり、一人の子をなした農夫と女。 田を耕す、変わりのない日々。 10歳になった子供は、毎日、母の作った食事を野良仕事をしている父親に届けることがつとめとなっていた。 けれどもある日、あまりにお腹がすいていた子供は、運んでいる途中でつい父親の食事を食べてしまう。 そのことを知って激しく怒った農夫。 怒りのあまり、思わず「これだから魚の子は」と口走ってしまう。 その言葉に泣き出し、母の元に帰って本当に自分は魚の子なのかと問う子供。 農夫の言葉に傷つき、涙を流す女。 泣きながら女は、子供に向かって「あの丘まで走って行きなさい。今すぐに」と告げる。 母の言葉に従って、丘まで走った子供。 女の涙は雨となり、悲しみは雷を呼び、四十日四十夜のあいだ激しい嵐が続いた。 長く激しい雨に、家も田畑も全て水に沈み、女との約束を破った農夫もまた水に沈んだ。 四十日四十夜の嵐の後、辺りは大きな湖となり、女は鯉の姿に戻りその涙の湖に暮らした。 子供の逃げた丘は湖に沈むことなく、その大きな湖が

聞いた話し、読んだ話し

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Sumba Island_East Nusa Tenggara, 2011 インドネシアは大きな国です。とてもとても広い国です。 赤道をまたいで連なる島々からなる国。島が多すぎて公式発表の数は千単位で誤差がでます。 最新の数字(2017年)では、16,056の島。 そこに300あまりの民族が暮らし、600を超える地方語が話されています。 民族も言語も文化背景も信仰もあらゆるものが異なるひとたちが集まっての国家、インドネシア。 「インドネシアって…」と語るときの「インドネシア」は、どの「インドネシア」でしょうか。 あの街も、あの海も、あの島も、あの大渋滞も、あの草原も、あの森も、あの味も、あの人も、 目にしたそれぞれが、それぞれに、インドネシア。 そんなインドネシアの断片を、聞いた話し、読んだ話し、徒然に覚え書きとして残します。 旅行に行くじゃないですか。 地方の小さな島とか、大好きなので。 で、行った先で、色々と土地の話しを聞いたりもするわけです。 普段は、メモとか取らないんです。 記憶に残ったことが自分の心に刺さったことなのだから、それを覚えていればいいと思って。 でもある時、ちょっと気分を変えてメモを取りながら旅行をしました。 で、その内容を忘れたりしました。 それを後から読み直してみたら、面白んですよ、これが。 ああこうやって、記憶からこぼれちゃった面白い話しがいっぱいあったんだろうなと思って。 そしてきっと、今は辛うじて覚えていることでも、そのうち忘れてしまうんだろうなとも思って。 なので、まあ徒然に。ぽつぽつと。 聞いた話し、読んだ話しです。 なので、正しい話しとは、限りません。正しい話しを集めようとも思っていません。 そういう説もあるのだね、そういう言い伝えがあるんだね、そのくらいの断片集です。